2007/05/10
「独検コラム」一周年記念番外編
さらなる活況を呈しますように
独検事務局 山之内栄
4年のブランクを経てこの「独検 online 」にコラムが復活してこの3月で早や一年が経ちました。独検の立ち上げ当初からの功労者,最初の出題委員(後に副委員長→委員長),若手(?!)現役実行委員という3名を執筆者にお迎えして,月に1~2本のペースでランダムな視点からお書きいただいています。みなさま,お楽しみいただいていますか?
去る3月15日に「一周年記念」と銘打ってコラムニストのお三方と「独検」の主催団体である財団法人ドイツ語学文学振興会の理事長にも加わっていただいて,ひととき歓談の場を持ちました。
話題は3月11日に行われた「独検授賞式」や最近のそれぞれの近況に始まり,大学院の現状(院生のシルバー化とか相変わらずの就職難とか),シルバー世代の活躍はカルチャーセンターでもみられること, 諏訪先生の声がいいこと(先生は NHK のラジオ講座でも教えていらっしゃったことがあります),粂川先生のお名前の由来,粂川先生と親交のある作家 Brussig 氏のこと,とくに現在の日本の学生にとって "壁" は過去になりつつあること,それでもW杯で渡独中の粂川先生が3時間の拘束に遭ったとか,留学時代のエピソード(1980年代に Bonn に滞在していた神品先生を光野先生が訪問したとか60年代の現地の様子,独文界にとってよき時代の終焉だったとか),アルペンザルツのこと,最近の「塩ブーム」のこと,ドイツ,オーストリアの温泉,保養地のこと,この日の直後に控えていた日本独文学会の「文化ゼミナール」のこと,毎年の開催場所である蓼科のこと, 今回の招聘教授のマル秘エピソード(!内容的に残念ながらここではとても御紹介できません…), Philology の大切さ,最近のドイツでのゲルマニストの傾向(本家でも状況は厳しいとのこと),来年金沢で開催される「アジア・ゲルマニスト会議」のこと,学生による授業評価,はたまた話題のドラマ『ハケンの品格』やドイツ語学文学振興会の事務局のある本郷のこと,日本独文学会の移転のこと,そして諏訪先生と光野先生のそれぞれの闘病談義に近年の日本でのワインの受容のレベルアップ,クラシック愛好家の光野先生のワグナー讃,小澤征爾のこと…とまあ,ドイツ語ドイツ文化のことのみならず実に多岐に渡り,時間を忘れるほどでした(実際には4時間程度。ふー)が,ここではとても紹介しきれませんので,コラムのことに絞ってそのときの様子を再現してみましょう。
「コラムの今後の展望についておうかがいしたいのですが」
粂川: サッカーネタも一応終わったので,(先述の)ドイツでの拘束話とか電車に乗り遅れたこととか。
光野: 同じ IC でも西と東では違うしね。
粂川: それと現地でボクシングの取材もしたのですが,一般的な関心はどうでしょうか。有名な人もいるにはいるんですが…
諏訪: (粂川さんは)ボクシングされていたの?
粂川: 書くことだけです。習ったことはありますが目も悪いので。
諏訪: 大宮にボクササイズをやっているところがあります。女性の競技もあるのなら観てみたい。
(書き手注: このへんからやや脱線。以下()内は書き手の独白です)
粂川: うーん…
神品: レスリングでいいんじゃない?
粂川: 女性ボクサーは力がないので型がきれい。練習風景は美しいけれど競技となると…
諏訪: 女相撲はあまり観たくないなぁ。
粂川: ドイツには連勝記録を持った女性拳闘家がいます。
神品: 粂川さんは今後もスポーツ中心(の執筆)で?
光野: ボクシング用語もいいかもね。
「神品先生は前回から話題がガラッと変わりましたが」
神品: これまでの「地図を見ながら」は初級編。これからは中級編というかコラムらしい感じで,時事的なものを取り上げてみました。つかめるといいと思うし,感想も知りたい。諏訪さんのはタイトルを付けて別立てにしてもいいんじゃないかな。
諏訪: ほかの人と較べると書き過ぎている?
一同: 多い分にはかまわないでしょう。
神品: この前の「jeːイェー」の話(コラムNr.13 ドイツ語圏 (7)オーストリア(5)参照)おもしろかった。諏訪さんのは同業者が読んでもおもしろい。
諏訪: あと2,3回でオーストリアを終えてそのあと2,3回スイスを書いて,そのあとはドイツをいっぱい書きます。(…だそうです。読者のみなさま,お楽しみに!)ネタはいっぱいあってきりがない。
光野: 本にすれば?(え?!)
一同: 「独検叢書」つくれば?(えぇっ?!)
神品: 僕もエッセイ集出してもらおう。コラムの人だけでなく,出題作業での裏話とか,理事の人のエピソードとか。(ほ,ほんとですか?)
諏訪: (コラムについて言えば)地域ごとに緻密にちゃんと書いてみたい。ひとりひとりのドイツ語というレベルまでいったら,それは文学にも通じると思う。そこまで書けるかどうか…
途中「独検叢書」「独検新書」などという思いがけない話に発展しかかりましたが,近い将来これがきっかけになって実現できたらいいなぁと思います(思うのはあくまでも自由です)。これを御覧になっている出版社の方,もし万が一にも「やりましょう!」と思われたならぜひ独検事務局まで御一報ください。(期待しないで)お待ちしております。
そのあと話題は発音の問題へと移っていき,「独検」ではもちろん標準ドイツ語を標榜し,発音の画一化にも寄与,多様性の許容とは相反するが,それは仕方のないことだしそれでいい。ただ,現地ではいろいろな発音があることは事実だし,そのことにびっくりしないこと,また発音にとらわれすぎず,しゃべっていくことが大事だ,というまことにドイツ語の先生らしい話題でお開きとなりました。
コラムの内容は必ずしも「独検」に関わったり,まして「独検」合格への手引きであったりはしませんが,ドイツやドイツ語圏,ドイツ語の奥深さを感じていただけるものになっていると自負しております。このコラムがドイツ語,ドイツ語圏の国や人々,文化への興味や関心を持つきっかけになってくれたら,こんなに嬉しいことはありません。諸般の事情によりこのホームページ上では掲示板を設けておりませんが,コラムに関する御感想,御意見等ございましたら,お手数でも独検事務局までお寄せいただければ幸いです。(こちらのほうは期待して)お待ちしております。
これからもいっそうの充実を図っていくつもりですので,今後とも「独検」とコラムをよろしくお願いいたします。(標題はこの日の理事長の発声のことばに拠りました。)